教育心理学研究
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説明文理解におけるグラフの役割
グラフは状況モデルの構築に貢献するか
岩槻 恵子
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2000 年 48 巻 3 号 p. 333-342

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抄録

本研究は, 説明文理解においてグラフが状況モデル構築を支援する可能性を検討した。デジタルの知識のない大学生に, デジタルのメカニズムに関する説明文を学習させた。その際, 説明文にデジタル化の例を表わすグラフを付加する条件, グラフと同内容の例を文章として付加する条件, 説明文のみを与える条件を設定した。実験1では, 説明文の内容の把握は各条件とも同程度であったが, 学習した情報を利用することを求めた応用問題においてグラフの効果が示され, グラフは深い理解に関わる状況モデル構築に効果があることが示唆された。さらに回答内容の分析より, グラフ条件では説明文に明記されていた情報にグラフから読みとった情報を補って状況モデルを構築していたが, 文章条件では例を状況モデル構築に十分用いていないことが推測された。そこで実験2では, グラフから読みとれる情報を文章中に明記する条件, 質問によって想像する条件を設定したが, これらの条件の効果はなかった。以上の結果は, グラフによる認知的負荷の軽減や空間的な表象を保持することの効果によるものと考えられる。

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© 日本教育心理学会
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