本研究の目的は, 拒否不安と親和傾向という2つの親和動機と対人的疎外感との関係, 及びそれらの関係の発達差や男女差を調べることであった。中学生366名, 高校生528名, 大学生233名を対象に親和動機, 対人的疎外感及び自我同一性についての質問紙調査を行った。その結果, 拒否不安と親和傾向は高い正の相関を示すにもかかわらず, 拒否不安は対人的疎外感と正の関係を, 親和傾向は負の関係を示した。また, 結果には男女差, 発達的差異があった。(1) 女子において, 拒否不安は成長に伴い漸減した。 (2) 男子では, 拒否不安は中学生で対人的疎外感と負の関係を示したのに対し, 大学生では正の関係を示した。(3) 拒否不安と親和傾向の相関は, 中学生の方が, 高校生, 大学生よりも高かった。これらの結果から, 2つの親和動機の変化は, 対人関係を適応的に維持していくための発達課題を示しているのではないかと考えられた。