2003 年 51 巻 2 号 p. 187-194
本研究では, 小学生の算数における場合分け能力を調べることを目的として, 小学生338名を対象に答えが複数ある文章題を3条件: 普通条件 (複数の答えについて特別な教示を与えない), 教示条件 (複数の答えの存在を示唆する教示を与える), 提示条件 (複数の答えを提示する) で解いてもらった。さらに, 場合分け能力の個人差に関連する要因を調べるために, 算数テストを実施した。その結果, 小学生にとって, 複数の答えを考えることは, 普通条件, 教示条件, 提示条件の順で難しいことが明らかになった。また, 個人差について, 算数テストの得点が高い小学生の方が, 複数の答えを考えることができる傾向がみられた。