教育心理学研究
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心理相談と大学教育のコラボレーションによる学生相談のシステム作り
宇留田 麗高野 明
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2003 年 51 巻 2 号 p. 205-217

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抄録

大学という教育コミュニティのニーズに応えられる心理実践活動を実現するために, 修学面での援助を重視する新しいタイプの学生相談システムのモデルや, システム作りの方法論が求められている。本研究は, 筆者らが取り組んできた学生相談システム作りの実践活動を, 新しいタイプの相談システム作りのひとつの事例として取り上げ, そこから得られた知見から, 学生相談システム作りにおいて参照できるようなモデルを構成することを目的とする。実践的フィールドワークという方法によって, システム作りの過程を記述・分析した。そして, 実践活動の中で, 心理相談と大学教育のコラボレーション (協働) によってシステム作りが進展していくことを発見し,「コラボレーションによるシステム作りの循環的プロセスモデル」を構成した。このモデルでは,(1) サービスの評価とニーズの把握,(2) 新システム・新サービスの計画,(3) 新システム・新サービスの実施, という3つの過程を循環的に繰り返し, 各過程において, 異なる専門分野の相談員・教職員・学生・他の学生サービス機関等との間でコラボレーションが行われることによって, システム作りが進展していくことが示された。

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© 日本教育心理学会
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