教育心理学研究
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大学生の職業興味形成プロセス1
手段性・表出性, 自己効力感, 結果期待の役割について
安達 智子
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2003 年 51 巻 3 号 p. 308-318

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抄録

社会・認知的進路理論で規定される概念間の関連性について検討をくわえた。質問紙は, 進路に対する自己効力感, 結果期待, 職業興味, 性役割パーソナリティの4つの測度から構成され, 大学生393名より有効回答を得た。手段性と表出性が進路に対する自己効力感と結果期待を介在して職業興味を喚起させるプロセスについて因果モデルを構成し, 構造方程式モデリングによる分析を行った。結果として, 6つの職業領域すべてにおいて自己効力感と結果期待が興味に影響を及ぼしていたことから, 自己効力感だけでなく結果期待も, わが国大学生の職業興味の形成に重要な役割を果たすことが明らかにされた。また, ジェンダーと効力感, 結果期待の関連については, 領域毎に傾向差がみられるが, 手段性と表出性のどちらか, あるいは双方が効力感と結果期待のいずれか, あるいは双方に影響を及ぼしていた。こうした結果から, 変数間の関連性は領域により異なるため, どういった職業領域を扱うかを念頭におき領域毎に検討していく必要があるだろう。

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© 日本教育心理学会
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