教育心理学研究
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青年期の友人関係における「自己表明」と「他者の表明を望む気持ち」の心理的要因
柴橋 祐子
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2004 年 52 巻 1 号 p. 12-23

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抄録

本研究では中学, 高校生の友人関係における「自己表明」および「他者の表明を望む気持ち」の2側面に関わる心理的要因を発達的な観点から検討した。中学, 高校生721名を対象に質問紙調査を実施し, 因子分析により, 2側面に関わる心理的要因として「安心感」「配慮・熟慮」「率直さへの価値感」「スキル不安」「支配欲求」の5つが抽出された。これらの心理的要因が「自己表明」および「他者の表明を望む気持ち」に及ぼす影響を分析した結果,(1) 中学, 高校生の男女共にほぼすべての「自己表明」および「他者の表明を望む気持ち」に「率直さへの価値感」が深く関わる。(2) 全体を通して「意見の表明」および「不満・要求の表明」の低さの背景に「スキル不安」がある。(3) 高校生では, ほぼすべての「自己表明」に「安心感」の影響があり, 高校生の女子では「他者の表明を望む気持ち」にも関連している。 (4) 「不満・要求の表明」の背景に女子では「配慮・熟慮」, 男子では「支配欲求」があることが示された。これらの結果から, 自己肯定感, 自己信頼感が2側面を共に支える重要な要因であること, 2側面のあり方を支える心理面の発達的な違いが明らかになった。

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© 日本教育心理学会
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