教育心理学研究
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同年齢児童の協同はいつ有効であるのか
比例的推理の方略レベルが異なるペアの相互作用
権 裕善藤村 宣之
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2004 年 52 巻 2 号 p. 148-158

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抄録

本研究では同年齢児童の協同的問題解決を通じた方略の学習効果を検討した。175名の小学校5年生を対象に, 比例的推理における方略のレベルが異なるペアに関する2つの実験を実施した。最も低いレベルの誤方略を事前に用いていた児童を対象に, 正方略を用いていたパートナーとの協同を検討した実験 1では, 手続きの模倣による表層的交流が主な特徴で, 協同による学習効果はほとんどみられなかった。実験2では, 誤方略より-ステップ精緻なレベルの方略を事前に用いていた児童と正方略を用いていたパートナーとの協同を検討した。その結果, パートナーの示した根拠を再構成する双方的な深層的交流がみられ, 協同過程で学習した方略は類似の問題まで転移した。本研究から, ペアの構成条件は協同学習の転移効果と相互作用の質を規定することが示唆された。

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© 日本教育心理学会
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