教育心理学研究
Online ISSN : 2186-3075
Print ISSN : 0021-5015
ISSN-L : 0021-5015
青年期における自己愛の構造と発達的変化の検討
中山 留美子中谷 素之
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 54 巻 2 号 p. 188-198

詳細
抄録

本研究では, 青年期における自己愛の発達的変化について,「2種類の自己愛」という枠組みを用い, 横断的方法により検討を行った。研究1では, 理論的に指摘される「2種類の自己愛」を測定する尺度を作成した。研究2では, この尺度を中学生から大学生までの青年1114人に対して実施した。下位尺度得点を用いて青年の自己愛を「誇大型」「過敏型」「混合型」「低自己愛群」の4下位型に分類し, 各下位型の生起率を学年ごとに算出して, これを比較した。その結果, 自己愛は全体として, 中学生から高校生にかけて高揚し, 高校3年生付近でピークを迎えることが示唆された。また, GHQ (精神的健康調査票) 得点との関連から, 下位型によって適応の高さに違いがあることが明らかになり, ここから, 青年期の自己愛が適応と関連していることが示唆された。

著者関連情報
© 日本教育心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top