教育心理学研究
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外国映画のリスニングが中学生の学習意欲に及ぼす影響
菊地 一彦中山 勘次郎
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2006 年 54 巻 2 号 p. 254-264

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抄録

中学生は, 英語学習の中で特にリスニング活動に対して苦手意識を持つ傾向が強い。このため本研究では,“生きた”英語に接する機会を提供する外国映画 (ここでは英語話者の俳優によって会話される映画をさす) を, 教材として用いることが試みられた。外国映画は, リスニングする場面に魅力的な文脈を与え, また英語表現に対する様々な発見をもたらすことを通じて, 英語リスニングへの内発的興味や挑戦意欲を喚起し, 学習を促進すると予測された。実際の外国映画の一場面を視聴する条件の他, 同一内容を静止画とALTによる吹き替えで提示する条件, 日常場面での会話に置き換えてALTが演じる条件の3つの教材が比較された。その結果, 外国映画群は教材への興味や有能感が最も高かっただけでなく, 教材を用いた家庭学習にも自発的に取り組み, さらにリスニング得点も他の群より向上していた。これらの結果は,“生きた”英語に接する機会を提供し, 内発的興味を喚起する諸要因をも備えた外国映画を, リスニング教材として用いることの有効性を支持するものであった。

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© 日本教育心理学会
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