教育心理学研究
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若手小学校教師の実践共同体への参加の軌跡
徳舛 克幸
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2007 年 55 巻 1 号 p. 34-47

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抄録

本研究では, 若手小学校教師 (教師歴1年目~3年目) の教師の実践共同体への参加の過程を正統的周辺参加 (Lave & Wenger, 1991) 概念を主な分析の視点として検討した。半構造化面接によって調査を実施し, トランスクリプションを作成した。そして, 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ (木下, 1999, 2003) を分析方法として用い, 若手小学校教師の認知に基づく実践共同体への参加 (学習) 過程モデルを作成した。若手小学校教師は, 教師として身につけるべきスキルや知識があると語る一方で, 他の教師や児童, 保護者, 地域との相互交渉によって教師としての学習がなされると考えていることがわかった。そのため, 「教師になる」とは, 個人主義的に達成されるものではなく, 社会的相互交渉によって社会的に達成されることが示唆された。さらに, 学習の概念とは, 従来の個人主義的な達成に加え, 社会的達成物であることも示された。

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© 日本教育心理学会
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