教育心理学研究
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ルール適用の促進を意図した「判断の不確定性」低減方略の検討
佐藤 淳
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2008 年 56 巻 1 号 p. 32-43

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抄録

本研究では, 提示したルール (p≡q) が課題解決に容易に適用されない理由の一つに, 「判断の不確定性」 (ルール不支持方向の命題[p→非q, 非p→q]にも一定の妥当性を付与して判断の依拠する命題を一つに確定しないこと) を挙げ, これを低減する方略の有効性について検討した。その方略とは, p・非p×q・非qの4つのセルからなる論理操作マトリックスを用いてルール命題の妥当性の検証過程を示す方法 (マトリックス検証方略) であった。経済的競争ルールを取り上げた実験Iでは,「判断の不確定性」の存在が確認され, 併せてマトリックス検証方略が, 従来の事例提示方略の効果を上回って課題へのルール適用を促進することが示された。植物生殖ルールを取り上げた実験IIでも, 同様の結果が得られた。これらの結果から, マトリックス検証方略の有効性とその限界について, また事例提示方略との関係性について, そしてこの方略の授業場面への利用可能性について考察を加えた。

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