教育心理学研究
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「問題行動」を示す児童とのかかわりに対する教師の評価に関する検討
竹村 洋子
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2008 年 56 巻 1 号 p. 44-56

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抄録

本研究では, 通常学級における「問題行動」をめぐる教師一児童間相互作用について, 児童とのかかわりに対する教師の評価に焦点をあて, 問題状況に関して検討を行った。研究1では問題性評価尺度及び対処行動評価尺度が調えられた。因子分析の結果, 問題性評価尺度は影響性評価・対処可能性評価の2 因子9項目, 対処行動評価尺度は問題解決志向・支援希求志向・情動軽減志向の3因子16項目の構造として理解することが適当だと考えられた。研究2では2つの尺度の結果についてクラスタ分析を行った。その結果, 児童とのかかわりにおいて生じる問題に対する教師の問題性評価は4類型, 対処行動評価は 5類型に分類可能であることが示された。研究3では, 通常学級における「問題行動」をめぐる教師-児童間相互作用への介入を実施し, 研究1で作成した尺度を用いて介入に伴う教師の評価の変化についてデータを得た。その結果, 教師への介入後に対処行動評価の類型の変化が, フォローアップ期には教師の問題性評価の類型の変化が示された。教師の評価のうち, 対処行動評価が教師-児童間相互作用を規定する要因である可能性が示された。

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© 日本教育心理学会
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