教育心理学研究
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置き換えられた攻撃の誘発 (TDA) に及ぼす挑発者および攻撃対象者の地位の影響
淡野 将太
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2008 年 56 巻 2 号 p. 182-192

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抄録

研究1では, TDA (triggered displaced aggression) パラダイムの実験手続きを仮想場面法に応用し, 妥当性を確認した。研究2では, 仮想場面法において, 挑発者および攻撃対象者の地位として先輩, 同輩, 後輩を設定し, TDAに及ぼす挑発者および攻撃対象者の地位の影響を検討した。攻撃対象者の地位の主効果から,「攻撃対象者: 後輩」群のTDAが「攻撃対象者: 先輩」群より強いことが示された。また, 挑発者の地位および攻撃対象者の地位の交互作用から,(a)「挑発者: 同輩」条件における「攻撃対象者: 同輩」群および「攻撃対象者: 後輩」群のTDAが「攻撃対象者: 先輩」群より強いこと,(b)「挑発者: 後輩」条件における「攻撃対象者: 後輩」群のTDAが「攻撃対象者: 先輩」群および「攻撃対象者: 同輩」群より強いこと,(c)「挑発者: 先輩」条件における「攻撃対象者: 先輩」群のTDAが「挑発者: 同輩」条件における「攻撃対象者: 先輩」群および「挑発者: 後輩」条件における「攻撃対象者: 先輩」群より強いことが示された。本研究結果から, 攻撃対象者の地位が個人より低い場合にTDAを表出しやすいこと, 挑発者の地位と同等の地位もしくは挑発者の地位よりも低い地位の攻撃対象者に対して TDAを表出しやすいことが示唆された。

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© 日本教育心理学会
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