教育心理学研究
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児童の因果関係理解の発達について (第2報告)
幼児期・児童前期における発達
関 絢一
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1969 年 6 巻 3 号 p. 1-7,65

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抄録

(1) 因果関係理解が, 言語的になんらかの形でなしうるのは, 4才前後であつて, 5~7才の間は, 感性的な理解が確立していく時期であり, 8~9才にいたつて具体的理解へと転換されてゆく。
(2) しかしながらこの段階はけつして固定的なある年令にのみ対応する態のものではなく, 前段階と載然と一線を画して現われるものでもない。説明の類型は質問の内容によつておおいに異なるものであって, 段階は結局比較的特徴が顕著に現われる年令層に附せられるものに過ぎない。しかし, 因果思考は決して単一の機能のモノトーニツクな連続量としての変化として律してしまうことはできない。
(3) 児童の説明類型は, 質問の内容によつて異なる。演示実験を伴なわぬ質問のばあいの方が, 非物質的な説明の出現が多くみられるが, しかし両質問系列を通じて児童の説明は自然的・物質的である。また, 演示実験を伴なう質問のばあいに, より論理的な説明が多くなされる。
(四) 一般に女児は男児に劣る。とくに実験演示を伴なう質問系列の場合にいちじるしく, また, 8~9才にいたるとその差が顕著である。以上の4点に要約した事実が明らかになつた。これらの事実は, 第1報に報告した事実とまつたく矛盾なく一致するものである。

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