教育心理学研究
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民族的ステレオタイプと好悪感情についての一考察
原谷 達夫松山 安雄南 寛
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1969 年 8 巻 1 号 p. 1-7,65

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抄録

1.12の民族的国家的集団に対する大阪市在住学徒のステレオタイプが質問紙法によつて求められ, 各集団ごとに上位5特性を表示した。
2.Katz & Bralyの手法により, 中学生, 高校生, 大学生という標本群ごとにステレオタイプの一致度指数を求め, それぞれ.24,.28,.26という平均値を得た。
3.民族的好悪感情の順位を測定した結果から, ステレオタイプを通して示された好意性との関連を考察した。とくに注意されたのは, 日本人学生の自己帰属感における知的感情的両側面の不一致である。
4.対照的な結果として朝鮮人に対するステレオタイプの非好意性と選択順位の低さとの合致が指摘され, 検討が加えられた。
5.われわれが得た成果を理論的に次の2点に集約してみた。
i) 本邦学徒の一致度指数があまり高くない根拠としては, 知的分化という面のほかに, 民族的無関心という面が指摘されよう。
ii) 欧米資本主義的先進国に対する日本人学徒の劣等感は, 朝鮮人のステレオタイプ像へ投射される可能性があり, 客観的理性にもとづく認識により偏見を克服する必要が感じられる。

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