教育心理学研究
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投影検査による児童の攻撃的行動の研究
高橋 茂雄
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1969 年 8 巻 2 号 p. 85-91,132

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抄録

本研究は小学校児童が学校場面においてあらわした日常の攻撃的行動と投影検査にあらわれた攻撃的内容との関連について研究するのが目的であつた。投影検査にあらわれた攻撃的内容をみるために児童の友人についての記録, TAT, HSCTの3つについて検査し, 児童の学校場面におけるあらわな攻撃的行動は教師によつて評価された。
この結果を検討するとあらわな攻撃行動と児童の友人についての記録内容にもられた攻撃性との間に意味ある関連を見出した。しかし児童のあらわな攻撃性の強さとTATに対する空想的攻撃的テーマーの頻数との間に関連が見出せなかつた。さ髪あらわな攻撃性とHSCTとの関連については, 攻撃的行動展開の両極端の児童達はその中間の攻撃性と評価された児童達よりもHSCTにおいてより多くの攻撃的テーマーをつくつた。かかる非直線的関連はBack (2) やSears (8) が人形劇を用いて人間間の攻撃性と空想的攻撃について研究した結果とも一致するところであり, 投影検査におけるこの方面の研究に一つの光明を見出すことができた。

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© 日本教育心理学会
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