2007 年 25 巻 2 号 p. 81-87
視床下部過誤腫に伴った難治性てんかんと行動異常が定位的ラジオ波焼灼術により軽快した9歳の女児例を経験した。3歳頃から笑い発作が出現し、4歳頃から急速な身長の伸びを認め、4歳10カ月時に尿失禁を伴う意識消失発作が出現した。頭部CTでは異常を指摘されず、抗てんかん薬療法が開始されたが難治に経過。5歳10カ月時に頭部MRIにて視床下部過誤腫と診断され、ガンマナイフ治療を行うとともに抗てんかん薬の調整を行う。発作は軽減したが完全抑制されず、8歳10カ月時に定位的ラジオ波焼灼術を施行したところ、発作が消失し、情緒障害も改善した。視床下部過誤腫に対する定位的ラジオ波焼灼術は、比較的安全で有効な治療であると思われた。今後さらなる症例の検討により、その適応や治療方針が確立されることが望まれる。