てんかん研究
Online ISSN : 1347-5509
Print ISSN : 0912-0890
ISSN-L : 0912-0890
原著
片側巨脳症における半球離断術後の非罹患側の脳波経過と発達
高橋 孝治中川 栄二竹下 絵里本橋 裕子石山 昭彦齋藤 貴志小牧 宏文須貝 研司北 洋輔高橋 章夫大槻 泰介佐々木 征行
著者情報
ジャーナル 認証あり

2017 年 34 巻 3 号 p. 619-627

詳細
抄録

片側巨脳症は、出生後早期から早期乳児てんかん性脳症などの難治性てんかんを認め、最重度の精神運動発達遅滞を呈することが多い発達予後不良の疾患である。薬物療法が無効のため生後早期に大脳半球離断術が行われることが多い。術後の経過中に、てんかん発作が消失しても非罹患側に脳波異常の出現を認めることがある。半球離断術によりてんかん発作が消失した症例を対象に、非罹患側の経時的脳波変化と発達月齢、発達指数との関係について後方視的に検討した。片側巨脳症の半球切除術後でてんかん発作の消失した症例では、術後の発達指数は全例で低下傾向だったが、発達月齢は運動・言語発達とも全例で緩徐ながら伸びていた。術後の発達は、発達指数よりも発達月齢で評価した方が、術後臨床的に発達を認める実態を把握しやすい。また経過中に非罹患側の突発活動が出現することがあり、その増加率が高いと表出性言語発達が遅滞する可能性が示唆された。

著者関連情報
© 2017 日本てんかん学会
前の記事 次の記事
feedback
Top