てんかん研究
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原著
焦点性発作とepileptic spasmsが併存する小児てんかん患者におけるvigabatrinの有効性
平田 佑子浜野 晋一郎池本 智菊池 健二郎小一原 玲子松浦 隆樹代田 惇朗野々山 葉月
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2020 年 38 巻 2 号 p. 139-146

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抄録

スパズムと他の焦点性発作を同時期に有する症例におけるVigabatrin(VGB)の有効性を検討した。当センターでスパズムに対しVGBを投与した症例のうち結節性硬化症を除き、同時期に焦点性発作を有した11例を対象とした。後方視的に各発作型へのVGBの有効性、VGB中止による発作変化、最終診察時の発作転帰について評価した。経過観察は1年~6年9カ月でVGB継続期間は2週間~1年3カ月、全例で焦点性発作がスパズムに先行発症した。VGBの発作型別の有効性は、スパズムは消失例がなく、焦点性発作は消失の5例を含め半減以上が9例だった。10例でVGBを中止し、VGB投与中焦点性発作が半減以上だった8例全例で再発又は増加した。発作転帰は、両発作型消失と焦点性発作のみ消失が各々1例、スパズムのみ消失が2例、両発作型残存が7例だった。両発作型を同時期に有する症例において、VGBはスパズムには無効でも焦点性発作に有効性を認めた。VGBは、スパズムと共に焦点性発作への有効性も考慮し、VGB継続ならびに再開を検討すべきである。また、難治性てんかんにおけるスパズム以外の発作型に対するVGBの適応拡大が望まれる。

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© 2020 日本てんかん学会
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