てんかん研究
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小児クモ膜嚢胞とてんかん
脳波学的所見と嚢胞の部位と容積との関係について
岡田 祐輔浜野 建三岩崎 信明堀米 ゆみ榎本 貴夫滝田 齊
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1995 年 13 巻 3 号 p. 195-201

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抄録

小児クモ膜嚢胞 (以下ACと略す) におけるてんかんの病態生理を明らかにするために, 臨床脳波学的所見とACの部位および容積との関係を検討した。対象は筑波大学小児科を受診した頭蓋内AC33例 [男26, 女7; 発症または発見時年齢0カ月-13歳 (4.0±4.2歳)] であった。ACの存在部位はテント上中頭蓋窩が21例, 中頭蓋窩以外が4例, テント下が8例であった。脳波異常は21例に, このうちてんかん発作は11例に認められた。発作型は部分発作が7例であった。テント下のAC2例にも部分発作および局在性の発作性放電が認められた。てんかん発作がなく脳波異常のみが認められた群では, 背景活動の異常が10例中9例に, 発作性放電が1例にのみみられたが, 嚢胞の容積は発作のある群に比較して有意に大きかった。以上のことは, てんかんの発症にはACが直接的に影響しているのではなく, 合併した脳実質障害が関与している可能性を示唆するものと考えられた。

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