2014 年 54 巻 1 号 p. 55-67
成員の等質性と異質性が集団による問題解決パフォーマンスに及ぼす効果を検討した研究のレビューをとおして,多様な成員から構成される異質性の高い集団は,潜在的には優れたパフォーマンスを示す可能性が高くなること,しかし,一方で,このような多様な成員からなる異質性の高い集団においては,相互のコミュニケーションや共通理解の困難さが高まり,情緒的魅力や集団凝集性が低減する可能性も高まり,あるいは,対人葛藤が生起する可能性も高まること,そして,これら対人関係にかかわる問題が集団による問題解決パフォーマンスに抑制的に影響する可能性があることを明らかにした。長期に持続する確立した集団や,介入・訓練を受けた集団においては,異質性の高い集団がより優れたパフォーマンスを発揮する可能性が示されている。このことは,相互の異質性について成員が相互に共有し,これらの異質性を前提とした相互依存的関係が形成されるかどうかが集団による問題解決パフォーマンスに大きな影響を与えていると考えられる。