2026 年 65 巻 2 号 p. 76-92
本研究はXu et al.(2021)を踏まえた上で,日本の一般市民による身体的・心理的虐待の認識,通告意図に関する要因を検討した。日本人1,485名からデータを収集した。回帰分析の結果,事例の深刻度が高いほど,参加者は軽度・重度の身体的および心理的虐待を認識し,通告しようとしていた。一方で,躾に厳格な育児観をもつほど,参加者は軽度の身体的および心理的虐待を認識していないことがわかった。周囲の人なら通告するはずという主観的規範が強いほど,参加者は軽度・重度の心理的虐待に対して通告しようとしていた。また,他者が対応するべきであり,自分には関係ないという傍観的態度を持つほど,参加者は軽度・重度の身体的および心理的虐待の通告をためらっていた。さらに,恨まれることへの不安が強いほど,参加者は軽度・重度の身体的虐待および重度の心理的虐待の通告をためらっていた。