論文ID: 2423
本稿では,対人コミュニケーションの根幹をなす送り手の状態や特性に関する解読の正確さを測定する課題遂行型テストについて概観し,取り組むべき課題を論じた。まず,対人コミュニケーションの構成要素や解読などの基礎的なスキルの位置づけについて触れ,非言語的手がかりによる解読の重要性を述べた。次に,解読の正確さの測定に関する方法論的課題として,非言語的手がかりおよび解読対象の多様さや,解読における文化差,従来の評定方法の問題点について研究例を紹介した。解読の正確さを測定する既存の課題遂行型テストを刺激人物の文化的背景という観点から整理し,各テストにおいて利用可能な非言語的手がかりや解読対象,テストの信頼性および妥当性,それらを用いた研究で得られた知見についても紹介した。最後に,解読の正確さの測定における課題として,日本人を刺激人物としたテスト開発の必要性や,解読の正確さを適切に測定したうえで,知識や動機づけなどの解読の正確さの規定因について検討を行うことの必要性などを指摘した。