実験社会心理学研究
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リーダーシップの課題的役割と集団維持的役割の間の関係についての調査研究
蜂屋 良彦
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1972 年 12 巻 1 号 p. 1-10

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抄録

本論文は, 1) 集団成員の性格と彼がとりやすいリーダーシップの機能的役割との関係についての吟味, 2) 機能的役割の分布状況をもとにした各集団のリーダーシップの類型化, 3) 一般成員が公式リーダーに対して示す態度や苦情・敬意等の意見および集団生産性に関してリーダーシップ類型間の比較, を目的として高校バスケットボールチームを対象に実施された調査報告である。
結果を要約すると, 1) 集団維持的役割を取っている個人は, それを取ってない個人にくらべYG検査のG, R, S尺度等の衝動性因子や主導性因子で比較的高い得点をとっていること, 2) 課題遂行的役割と集団維持的役割とが一人に集中している統合型, 2つの役割が別個の個人に分化していてその間の関係が友好的な分離高友好型, その間の関係が低友好的である分離低友好型, の3種のリーダーシップ類型に集団を分類してみると, 成員が課題達成リーダーに対して示す友好的態度は統合型集団で最も高くなること, 成員の感じる融和的集団雰囲気は分離低友好型集団で最も低くなることが見出された。しかし集団生産性および公式リーダーへの苦情に関しては類型間に有意差は認められなかった。

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© 日本グループ・ダイナミックス学会
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