実験社会心理学研究
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PM式指導条件が被指導者のリスク・テイキング行動におよぼす効果
三隅 二不二橋口 捷久
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1972 年 12 巻 1 号 p. 28-40

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抄録

本研究は, 逆アルファベット書記課題を使用して, 指導者-被指導者の二者関係において, 指導者のPM式指導行動が被指導者のリスク・テイキング行動におよぼす効果を明らかにしようとしたものである。実験条件として, 指導者のPM式指導行動が操作され, PM型, P型M型, そしてpm型の4指導条件が設定された。結果を要約すれば, つぎのとおりである。
PM式指導条件間に, パフォーマンスの量的有意差は見い出されなかった。
リスク・テイキング行動については, PM式指導条件間に, リスク・テイキングスコアの有意差は見い出されなかった。しかしながら, GDスコアとADスコアには, PM式指導条件間につぎのような有意差が見い出された。GDスコアでは, PM型のみがプラスであり, その順位はPM型>P型=M型>pm型であった。また, ADスコアでは, PM型のみがマイナスであり, その順位は, pm型>M型=P型>PM型であった。
つぎに, typical shiftはPM型に最も多くあらわれP型, M型, pm型の順で減少し, atypical shiftはpm型に最も多くあらわれ, M型, P型, PM型の順で減少した。
リスク・テイキング行動に関する結果を総合すると, PM型指導条件のみがリスキーであり, 他の3指導条件 (P型, M型, およびpm型) はコンサーバテイブであった, なかでもpm型指導条件は最もコンサーバティブであった。これらの結果より, 仮説1が部分的に検証され, 仮説2は検証されなかった。そして, PM式指導条件と達成動機, 失敗回避動機との関係は, 本研究結果のリスク・テイキング行動を媒介として, 達成動機はPM型>P型>M型=pm型, 失敗回避動機はpm型>P型>PM型>M型であり, PM型はMs>Mf, P型はhighMs≦highMf, M型はlowMs=lowMf, pm型はMs<Mfであると推論された。この推論を明確にするためには, さらなる実験室的研究が必要であろう。

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© 日本グループ・ダイナミックス学会
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