実験社会心理学研究
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達成動機とリーダーシップの条件効果及び集団の業績規範に関する実証的研究
城戸崎 雅崇
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1973 年 12 巻 2 号 p. 108-112

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抄録

本研究は職場集団の集団成員の達成動機とリーダーシップ条件効果並びに集団における業績規範の関係を吟味しようとしたものである。
調査対象はA化学工業の事務・販売部門及び研究・開発部門の従業員223名 (31集団) である。
1. 職場集団において上司の達成動機が高いとき, 集団成員 (部下) の達成動機も高いことが見出された。
2. 上司の達成動機と集団の業績規範との間には正の相関が見出された。しかし集団成員の達成動機と集団の業績規範の間には相関はみられなかった。
3. 一般従業員よりも役付者の達成動機得点が高いことが見出された。
4. M型とPM型の上司の達成動機が高くP型とpm型の上司の達成動機が低いことが見出された。またM型の上司のもとで集団成員の達成動機が最も高かった。
5. 高達成動機群においても低達成動機群においても, また全体においてもPM型のもとで業績規範が最も高く, M型がこれに次いでいることが見出された。
6. 高達成動機群と低達成動機群とではP機能 (「計画P」と「圧力P」に分けた場合) の効果が同一ではないのではないかということが示唆された。高達成動機群ではM機能のほか「計画P」機能が高い業績規範を形成することに効果があるが, 低達成動機群においてはP機能についての効果は不明であることが見出された。

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