実験社会心理学研究
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成功-失敗条件および成員の統制志向傾向が成員行動の認知におよぼす効果
吉田 道雄白樫 三四郎
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1975 年 15 巻 1 号 p. 45-55

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抄録

成功-失敗条件および成員のIEが集団内行動認知に与える影響を測定するために, 実験室実験が行なわれた. 被験者は女子高校生140名. 原則として4名ずつの小集団. 青年が比較的よく遭遇すると思われる問題行動を解決するための集団討議 (事例は3つでそれぞれ10分間で討議) が集団に課せられた. 第三者による評価 (実験に先立ってすでに定められている) によって, 成功-失敗条件が操作された. 集団内行動認知に関する指標は, 討議終了直後の質問紙調査によって測定された. 実験前のIE調査の内的一貫性の検討を含めて, 主要な結果は次のとおり.
1. IE尺度 (Rotter 1966) の日本語訳は約300名の調査の結果, ほぼその内的一貫性が認められた.
2. IE得点は年令や性差などの要因によって相違があることが示唆された.
3. 成員の目標達成 (P) 的行動の自己評定に関しては, 内的統制志向傾向の強い者も外的統制志向傾向の強い者もともに成功条件で高く, 失敗条件で低い.
4. 目標達成 (P) 的行動の同僚成員による評定については, 内的統制志向傾向の強い者, 外的統制志向傾向の強い者ともに成功条件で高く, 失敗条件で低い.
5. 成員の集団維持 (M) 的行動の自己評定に関しては, 内的統制志向傾向の強い者は成功条件で高く, 失敗条件で低い. しかし, 外的統制志向の強い成員は, むしろ逆に失敗条件において高い自己評定を行なう.
6. 集団維持 (M) 的行動に関する同僚成員による評定については, 内的統制志向傾向の強い者は成功条件で高く, 失敗条件で低い. しかし, 外的統制志向傾向の強い者は成功条件, 失敗条件との間にほとんど差がみられない.

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