実験社会心理学研究
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実験者効果の精神生理学的研究
言語教示の効果
大里 栄子小川 暢也三隅 二不二
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1979 年 19 巻 1 号 p. 25-32

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抄録

本研究は, PM式リーダーシップ論によるPM型教示は, 遂行行動にとって最適であるという観点より, PM型教示によって喚起される生理的水準は, MとP型教示条件の問に位置する, すなわちP, PM, Mの順に喚起水準は高く, 達成作業度はPM条件のもとで最も高いであろうという仮説を検証することを目的とした。
対象は健康な女子学生45名であった。テスト前にSpielbergerのSTAI-I型によりstate anxietyを測定した。鏡映描写テスト施行法は教示表によって示し, その後3分集中施行し, 試行直後に評価法によって心理学的時間を測定した。1分間休止後, あらかじめ録音したP, M, およびPM型教示のいずれかをヘッドホーンより与えた。教示後, 再び鏡映描写テストを3分間集中施行した。その後同様に心理学的時間を測定した。心拍数はプルスメーターによりテスト前安静時, テスト中, テスト後安静時を通して連続的に観察し, 10秒間の最高・最低値を記録した。テスト後, 言語教示に対する認知をPMスケール, その印象をSD方式により, またSTAI-I型によりstate anxietyを測定した。
主要な結果は次の通りである。
1. 鏡映描写テスト時の心拍数は, P, M, PM教示のいずれによっても増加するが, その増加数は, PM, M教示群の順に大きく, 群間に差が認められた。
2. 鏡映描写テストの速度は, 各教示条件導入後いずれの群も増大し, 群間に差は認められなかった。正確度は, PM, M群においては逸脱回数および逸脱時間が減少し, 正確度の増大が認められたが, P群は正確度が低下した。
3. 心理学的時間は, PM, M群において減少したがP群においてはそれが認められなかった。試行時間を長く感じた」が「短く感じた」かについての主観的評価は, PM, M群は教示条件導入後時間を短く感じた者が増加したが, P群にはそれが認められなかった。
4. STAI-I型によって測定した状態不安state anxietyは, テスト後PM群においてのみ減少した。
5. STAI-I型の得点 (テスト前) と心拍数の相関はP群において教示中, 鏡映描写テスト中に有意な正の相関が認められた, PM, M群においてはそれが認められなかった。
以上の結果, 鏡映描写テスト時の心拍増加数はP, PM, M群の順に高く, P型教示は遂行行動にとってover arousalな状態をもたらし, PM, M型教示はよりoptimalな状況を作り出すと考えられる。PMとM型教示に類似した効果が認められたが, PM型教示群は, M群よりも正確度の改善が早く特態不安の低下している点で優れている。automonic areusal level, 遂行行動情動状態を総合的に考え合わせると, PM教示が, P, M教示より最適な効果を持つことが示唆される。

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© 日本グループ・ダイナミックス学会
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