実験社会心理学研究
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リーダー行動と集団成績がリーダーシップ評定と結果の原因帰属に及ぼす効果
金城 亮
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1993 年 33 巻 2 号 p. 155-167

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抄録

本研究は, リーダーシップの評定に対してリーダーの行動と集団成績の高低が与える影響を実験的に検討するとともに, 集団成績の対リーダー帰属とリーダーシップ認知の関係について検討することを目的とした。
リーダー行動 (P型・M型・PM型) および集団成績 (低・高) を操作し, リーダーシップ評定および集団成績の原因帰属を行なわせた。実験IではVTR録画したリーダー行動類型の異なる3集団の活動過程 (うち1集団が高生産) を観察させた後, それぞれのリーダーについて評定させた。実験IIでは特定のリーダー行動を提示し評定させた。実験IIIでは特定のリーダー行動類型のもとで作業をしたフォロワーの評定について吟味した。
その結果, リーダーシップ評定については, 観察者・フォロワーのいずれでも, 提示したリーダー行動類型にほぼ対応した評定がなされており, 実験IIのM型リーダーに対する評定を除いては, 集団成績による有意な差異は認められなかった。実験IIでは, M型リーダーのもとで集団成績が高い場合にリーダーのM行動を過大評価し, P行動を過小評価する傾向が示された。また, 集団成績の対リーダー帰属とリーダーシップ評定との相関から, 観察者では高生産をリーダーに帰属するほどP行動を高く, M行動を低く評定しがちであり, 一方, フォロワーでは高生産をリーダーに帰属するほどP・M両認知得点をともに高く見積る傾向が示された。
本研究で得られた知見から, 集団成績の高低は, 評定者がその原因をリーダーの行動に帰属する過程を通じてリーダーシップ評定に影響を与える可能性が示唆された。

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© 日本グループ・ダイナミックス学会
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