抄録
本研究は, 過疎地域の一つである鳥取県八頭郡智頭町において, 過去13年間にわたって展開されてきた地域活性化運動の軌跡を紹介し, その軌跡を, 大澤真幸の社会学的身体論に基づき, 規範形成・変容のプロセス (超越的身体の構成プロセス) として考察した。特に, たった二人の住民リーダーによって創出された規範が, 彼らから一般住民に対するイベントや外国人・研究者の一方的伝達 (贈与) が成功することによって, 規範の作用圏を拡大するとともに, 一般住民, さらには町行政の規範的前提を再編成していくプロセスを描出した。