態度の類似性が対人魅力におよぼす効果については, 被験者内計画の研究では重要性効果やセットサイズ効果が見られるが, 被験者間計画を用いた研究で両効果とも見られない。逆に, 非類似態度は対人魅力を低下させるが類似態度は魅力に何の効果も及ぼさないとする斥力仮説については, 被験者間計画の研究では支持されるが, 被験者内計画を用いた研究では支持されない傾向もある。このような一貫しない知見の一因は, 被験者間計画の方が被験者内計画よりも有意差が生じにくいという点にあると考えられる。本研究では, 態度の類似性が対人魅力に及ぼす効果に関して, 男女大学生それぞれ30名と18名による被験者内計画の実験1と, 男女大学生それぞれ315名と151名による被験者間計画の実験2を行った。その結果, セットサイズ効果は被験者内計画において, また斥力仮説は被験者間計画の場合にのみ支持されたが, 態度の重要性が類似性と魅力の関係に影響を及ぼすことは両実験において確認された。これらの結果から, 対人魅力も印象形成や意思決定過程と同様の心理的機構により説明可能であることが示唆された。