2004 年 28 巻 1 号 p. 57-68
本研究では,e-learningにおける電子掲示板上の各学習者の参加状態や,発言の傾向を把握するのに適した指標を検討することを目的として,学習者の参加状態を把握するための指標を12種類,学習者の発言傾向を把握するための指標を3種類設定し,各指標の値をwebブラウザ上に表示するシステムを開発した.このシステムを,実際の電子掲示板のデータに適用し,各指標の値を求めた.その値と,電子掲示板上の議論内容を把握した評定者による,各学習者の議論に対する積極性や影響力の評定との相関を求めたところ,学習者の参加状態を把握するための指標の中では,各学習者が投稿した単語の種類の多さが,議論に対する積極性や影響力を検討するのに比較的適した指標であることが明らかになった.また,授業のコーディネータに対するインタビューを通して,学習者の発言傾向を測定する指標は議論の概要を把握するのに有効である可能性が示唆された.