日本教育工学会論文誌
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聾学校の数学指導におけるグラフ電卓活用による視覚的アプローチの効果
中村 好則黒木 伸明
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2005 年 28 巻 4 号 p. 323-331

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抄録

本研究では, 聾学校の数学指導におけるグラフ電卓活用による視覚的アプローチの効果について考察した.そのために, 聾学校高等部1年生を対象に, グラフ電卓を活用した視覚的アプローチによる指導を行う活用群とグラフ電卓を使用せずに指導を行う非活用群を設定し, 高校数学Iの「2次関数とそのグラフ」を題材に指導実践を行い, 両群の観点別評価, 学習活動及び事後テストの比較と, 活用群に対する意識調査を行い, それらを分析した.その結果, グラフ電卓を活用した視覚的アプローチは, (1)聾学校生徒の関心・意欲・態度の向上と数学的な見方・考え方の促進に有効であること, (2)数学的な意味の理解と活用を促すこと, (3)グラフをかく能力や関数値の計算力の低下は見られないという知見が得られた.また, 今後の課題として, グラフ電卓の操作方法の指導について検討が必要であるという示唆を得た.

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© 2005 日本教育工学会
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