受講生による授業の段階評価に基づいて,大学の授業における諸要因の相互作用と授業満足度の因果関係に関する分析を行った.教員側の要因としての「教授努力」と「コミュニケーション」,学生側の要因としての「学生の努力」および授業のアウトプットとしての「理解度」を要因となる潜在変数とし,これらが「満足度」に対してどのように影響を及ぼしているのかを「相互作用モデル」を用いて検証した.さらに受講生の授業に対する積極的動機の有無によりその違いをみるために多母集団同時分析を行った.分析の結果,「積極的動機有り群」では「教授努力」の直接効果が最も大きいが,「積極的動機無し群」では「教授努力」と「コミュニケーション」が同程度の効果を示し,「理解度」だけでなく「学生の努力」にも作用して「満足度」に影響を与えていることが明らかとなった.