日本教育工学会論文誌
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一斉授業における教師-児童間の相互交渉の契機となりうる教師の「働きかけ」発話の検討 : 小学校2年の国語の授業における教室談話の分析
岸 俊行松尾 聖一郎野嶋 栄一郎
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2008 年 32 巻 1 号 p. 57-66

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抄録

本研究では授業中の教師-児童間の相互交渉の契機となる教師発話を教師の「働きかけ」発話と定義し,一斉授業における教師の児童への「働きかけ」発話が,教授行為としてどのような意味を有しているのかを明らかにした.小学校2年の国語科の授業を対象に,カテゴリを用いた数量的分析と事例の解釈的分析を行った.分析の際には,教師の児童への「働きかけ」発話をさらに表現的機能,技術的機能,発話対象者ごとにカテゴリを設けて分類を行った.その結果,次の事が明らかになった.教師発話の半分以上が児童への「働きかけ」発話であった.また,表現的機能の中の 「統制」や「緩和」が約30%あった.このことより,教師の教授方略の一つとして,児童への「働きかけ」が用いられていることも示唆された.具体的には,「児童への明確な評価」を避け,「児童への感情評価」をより効果的に行い,児童を授業の中へ引き込む方略を有していることが示唆された.

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© 2008 日本教育工学会
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