日本教育工学会論文誌
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受験参考書に見る小論文試験の目的と評定構造の関係
古田 貴久
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2008 年 32 巻 2 号 p. 231-239

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抄録

大学入試と企業等の就職試験向け受験参考書における小論文の評定構造と,これらの試験の狙いとを比較・検討した.参考書に掲載された,講評が書き添えられた小論文342本を対象に,講評の内容を10通りに分け,講評の内容の出現頻度について因子分析を行い評価の因子を抽出し,それらの因子によって各小論文の評価(A〜D)を説明する重回帰分析を行い,因子の説明力を検討した.その結果,就職小論文の評価では,「アイデアとその現実性」および「内容の論理構成」の2因子が有意であった.この結果は,就職試験の狙いとされることと整合的である.一方で,大学入試での評価では「題意を踏まえた意見の論理的展開」という,論作文能力をトータルに見る因子の決定係数が0.7であり,小論文の受験指導と,大学が小論文試験の狙いとすることとの一致は部分的であった.

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© 2008 日本教育工学会
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