2009 年 32 巻 4 号 p. 383-393
一般に,授業改善・高度化には教師によるリフレクションが有効とされているが,その実施にかかる負担は大きく,現場での日常的な実践を困難としている.そこで,効率的かつ効果的な授業改善を目的とした研究の一環として,本研究ではまず,将来的な情報技術の活用を念頭に置き,教師が日常の業務とともに実践可能なリフレクション手法の開発に取り組んだ,本手法では,Double Loop教授設計プロセスモデルに基づき授業計画と実施結果との差異に着目し,これをふり返るべきポイントの候補として授業の全体像とともに提示する.これにより教師は,計画の不備や状況に応じた変更点などを即座に確認し,ふり返ることができると考えられる.提案手法の試用実験を実施した結果,授業中に発生した事象やその原因を思い出すきっかけとして,提案する差異の提示が有効であり,従来手法と比較し,より授業の内容や進行に着目したリフレクションを実施できることが確認できた.