日本教育工学会論文誌
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教育実習中の他者との関わりと教育実習生の授業・教師・子どもイメージ,授業観察力の変容
三島 知剛
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2009 年 33 巻 1 号 p. 71-81

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抄録

本研究の主目的は,教育実習前後の授業・教師・子どもイメージ,授業観察力の変容に影響する実習中の体験の検討であった.そこで,実習生の実習での他者との関わり(対指導教員,対児童,対実習生)に着目し,体験量と印象度,有用度の3観点で58名の実習生を対象に検討した.その結果,(1)児童への積極的指導や実習生との相互批判的関わりの体験量が,臨機応変的な授業イメージへの変容に重要なこと,(2)実習生との相互批判的な関わりが教師としての熟達と共に,権威的な教師イメージへの変容に影響すること,(3)児童や実習生との批判的な関わりがネガティブな子どもイメージに,指導教員や児童とのポジティブな関わりがポジティブな子どもイメージ形成に影響すること,(4)授業観察力の問題指摘には,指導教員や児童とのネガティブな体験に意義を見出すことが重要であるが,児童とのネガティブな関わりの体験量が多いと代案生起に負の影響を与えること,が主に示唆された.

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© 2009 日本教育工学会
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