2010 年 33 巻 4 号 p. 411-422
近年,学校教育の場において批判的思考力の育成が求められている.ディベート学習は批判的思考力育成,特に批判的思考態度醸成に効果があると考えられる.しかし,その効果を定量的に明らかにした研究は少ない.また,高等学校などで通常のディベート学習を実施する場合,クラス全員が参加するには多くのグループを作る必要があり,多くの監督者が必要になる.そこで本研究では,ネットワークを介して多人数が監督者なしにディベートが可能な「教育用ディベートシステム」を導入した,高等学校の生徒を対象とした総合的な学習の時間における批判的思考力育成のための単元を提案し,その実践及び批判的思考態度醸成効果の評価を行った.実践の結果,統計的に有意な批判的思考態度の向上が確認された.