2011 年 35 巻 Suppl. 号 p. 141-144
近年,学習指導の一環として,児童に自分自身の理解度や達成度を評価させることが推奨されている.しかしながら,児童による自己評価にどの程度の妥当性があるかを定量的に検討した例はほとんど見られない.本研究では,自己評価にはどの程度の妥当性を客観テストとの相関と定義し,妥当性を下げる要因を検討した.小学校3,4,6年生に対して実施した,算数の単元別達成度の自己評価と,それぞれの単元におけるテストの観点別得点(客観評価)の相関係数は,-0.3から.7と広範囲に分布した.相関係数が低い項目では天井効果が発生していた.妥当性の高い自己評価を実施するためには,自己評価の選択肢を吟味することと,各評価段階の規準を児童と共有することが有効と考えられる.