2012 年 36 巻 3 号 p. 217-226
本研究の目的は,複数の学習を架橋することを意味するラーニング・ブリッジングに含まれる学生の経験を明らかにすることと,ラーニング・ブリッジングと「学習アプローチ」との関連および「将来と日常の接続」との関連を明らかにすることである.本研究では,私立4年制大学文科系学部を対象に,質問紙調査を実施し,547名のデータを用いて分析した.分析の結果,ラーニング・ブリッジング項目が,授業間,授業外-授業間,異時点間の3つの形態を含んで構成された.そして,ラーニング・ブリッジングは,深い学習アプローチと接続意識・行動との間に正の相関関係があることが明らかにされた.学生の学習を一括りに単純化することなく,こうした関連を複合的に理解し,学生の学習を研究・支援していく必要性が示唆された.