本研究では,表現容易性およびイメージ性という2つの手話単語の属性を取り上げて,これらの属性と,動画・静止画(線画)という学習媒体の違いが,手話の語彙学習にどのような影響を及ぼすかを検討するため,動画または線画形式で提示される手話単語の記憶実験を行った.その結果,動画の場合は,表現容易性とイメージ性が手話単語の学習に対して加算的に作用するのに対して,線画の場合は,それらの属性が交互作用を持ち,表現容易性の高低にかかわらず,イメージ性が高ければ,手話単語の学習成績がよいことが明らかとなった.これらの結果をもとに,より効率的な手話の語彙学習の方法が示唆された.