本研究は,専門学校生を対象として動機づけ要因である方略保有感の促進による深い処理方略の教授介入を行い,その介入が深い処理方略の使用と転移に与える影響について検討を行った.45名の専門学校生が方略保有感の促進による教授介入を受ける介入群に,62名の専門学校生が深い処理方略の説明のみを受ける対照群に割りあてられた.分析の結果,介入群は対照群に比べ,深い処理方略を多く使用し,介入3ヶ月後のテストにおいても高い点数を取っていた.また,介入群は,深い処理方略を他の授業の学習でも多く用いていた.これらは,教授介入において方略保有感を促進させることが効果的であることを示している.より効果的な学習方略の教授を行うためには,動機づけに働きかけることが重要になると考えられる.