本研究の目的は,学校においてポジティブなアプローチの組織開発(OD)を実践し,教職員や教職員集団への影響と影響の過程を明らかにすることである.ポジティブアプローチの組織開発の代表的な手法であるAI(Appreciative Inquiry)を用いて,学校(私立小・中学校1校)において2日間の教職員研修を行った.その後1ヵ月間の影響を,インタビューデータを用いた質的データ分析により評価した.本研究で得られた知見は,ポジティブな組織開発により(1)教職員に「学校の教育目標を追求するための基盤(Foundation for Pursuing School Goals:FPSG)」が築かれ,また学校の教育目標を意識することで,学校の教育目標に向けた実践が始まること,(2)教職員に「対話的な同僚関係を高める基盤(Foundation for Developing Communicative Relationships between Colleagues:FDCRC)」が築かれることで,対話的な同僚関係が向上し,対話が実践に反映し,同僚との対話の必要性と意義を実感することである.