本研究は,従来の学習方略使用の規定要因を検討する研究とは異なり,まずいくつかの方略使用のタイプを分類した.そして,それらのタイプがどのような特徴をもつか,動機づけ(達成目標理論)とメタ認知的方略の使用および有効性の認知の違いから検討した.クラスター分析の結果,あまり方略を使用しない2群,比較的方略をよく使用しなおかつ使い分ける2群が示された.分散分析の結果,方略を使い分ける群の方が使用しない群よりも習得目標,メタ認知的方略の使用,有効性の認知の得点が高かった.また,有効性の認知が方略使用に与える影響も強かった.最後に,方略使用のタイプから考えられる教育実践への介入方法と今後の展望を考察した.