日本教育工学会論文誌
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学習動機が教科の知識を活用した推論の能否へ及ぼす影響
山本 和弘藤木 大介
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2014 年 38 巻 1 号 p. 29-38

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抄録

本研究では,知識を活用した推論を可能にする介入策の示唆を得るため,学習動機が教科の知識を活用した推論の能否へ及ぼす影響について検討した.高校3年生を対象に,学習動機については質問紙法と自由記述法,知識を活用した推論の能否については自由記述型と選択肢型の課題により,測定した.その結果,教科の知識を自分の生活に役立てようと考える実用志向が,自由記述型の課題成績に正の影響を示した.また,教科自体を楽しく面白いと考える充実志向や,周りにつられて勉強する関係志向は選択肢型の課題成績に正の影響を示す一方,知力の減退を避けようと考える訓練志向は負の影響を示した.このことから,授業で習う知識が生活に役立てることができると実感させ,教科に対する知的好奇心を引き出す介入や,周囲の生徒の学習行動に注意を払わせたり親や教師からの期待に気付かせる介入,望ましい目標に積極的に近付くよう動機づける介入が有効であることが示唆された.

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© 2014 日本教育工学会
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