日本教育工学会論文誌
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学生の学習アプローチに影響を及ぼすピア・インストラクション : 学生の授業外学習時間に着目して
蒋 妍溝上 慎一
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2014 年 38 巻 2 号 p. 91-100

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抄録

本研究の目的は,授業外学習の程度によって学生を分類した上で,ピア・インストラクション(Peer Instruction:以下PI)を導入した授業が学生の学習アプローチに及ぼす影響を実証的に検討することであった.また,この検討を通して,学生の深い学習を促すためのアクティブラーニングについての示唆を得ることであった.そのために,K大学の心理学の授業を対象とし,大学1年生103名(男性82名,女性21名)を対象として,4月,7月の2時点で質問紙調査を行った.授業外学習時間の程度で学生を授業外学習高群と授業外学習低群を分け,二要因分散分析を行ったところ,授業外学習高群の深い学習アプローチの得点に変化が見られなかったことに対して,授業外学習低群は深い学習アプローチの得点が低下することが明らかになった.これらの結果は,PIに授業外学習が重要な意味をもつことを示唆した.他方で,PIの効果を検証した方法には,検討の余地を残した.

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© 2014 日本教育工学会
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