2014 年 38 巻 Suppl. 号 p. 53-56
本研究では,環境教育における「環境問題の悪影響の時間的遅れを把握することの難しさ」に注目した.この問題への対応のため,中学校の総合的な学習の時間において,生徒が環境問題と自分の現在や未来を関連させる「デジタル・ストーリーテリング(DST)」をグループで作成する実践を行い評価した.その結果,生徒の環境問題に対する「責任感」の獲得への効果が示唆されたが,未来結果熟慮の得点には有意な効果は見られなかった.一方,生徒の協同作業に対する志向を測る個人志向尺度の高低に分けて分析を行った結果,個人志向高群の生徒はグループでのDST実践に興味や関心を持てなかったのに対して,個人志向低群の生徒は,DST活動を有意義なものと見なしたことが分かった.