日本教育工学会論文誌
Online ISSN : 2189-6453
Print ISSN : 1349-8290
ISSN-L : 1349-8290
ショートレター
小学校における「いじめ」の被害者・傍観者の被援助志向性
田村 修一
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 39 巻 Suppl 号 p. 33-36

詳細
抄録

 本研究の目的は,もし児童が「いじめ」の被害者・傍観者になった場合,その問題を解決するために友人・学級担任・養護教諭・スクールカウンセラー・保護者に対してどの程度,援助を求めるか(「被援助志向性」の程度)を明らかにすることであった.首都圏の公立A小学校4~6年生(140名)を対象に質問紙調査を実施した.その結果,(1)被害者・傍観者になった場合は共に,友人への「被援助志向性」は男子に比べ女子の方が有意に高い得点を示した.(2)被害者・傍観者になった場合は共に,スクールカウンセラーや保護者に対する「被援助志向性」は,高学年に比べ中学年が有意に高い得点を示した.(3)被害者になった場合,養護教諭への「被援助志向性」は男子に比べ女子が有意に高い得点を示した.また高学年に比べて中学年が有意に高い得点を示した.さらに,傍観者になった場合,養護教諭への「被援助志向性」は男子に比べて女子が有意に高い得点を示した.(4)一方,学級担任への「被援助志向性」については「学年」も「性別」も有意差が示されなかった.これらの結果に基づいて,いじめの予防と効果的な指導・援助方法を議論した.

著者関連情報
© 2015 日本教育工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top