本研究では,中学校の理科で行うミニ説明方式(森田 2004)において,各生徒が科学概念をどのように理解しているのかを記述させ,それに基づいた生徒同士の発話を促す発問を行うことが,科学概念の理解にどのような影響を与えるかを検証した.そのために手法を加えたミニ説明方式の実践を行い,生徒の科学概念の理解を評価した.その結果,ミニ説明方式に対話の場面を設定し,さらに授業者の発問を加える手法によって,生徒の科学概念の理解が促されることが示唆された.しかし科学概念の理解の効果が見られたのは,授業者の発問によって説明問題の質を高めることができた生徒のみにとどまる.